NISAってどんな制度?
NISA(ニーサ)とは、「少額投資非課税制度」という少額からの投資を目的とした、個人投資家が対象の税制優遇制度です。
NISAの概要は次の通りです。
利用対象 | 20歳以上の日本に住んでいる人 |
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開設可能な口座数 | 1人1口座 |
投資が可能な期間 | 2014年~2023年 |
非課税となる対象 | 株や投資信託などで得られた配当金・分配金・譲渡益 |
非課税投資額(上限額) | 年間120万円 |
非課税となる期間 | 最長5年間 |
参考元:金融庁「NISAの概要」
NISAでは、個人の資金を「貯蓄」から「投資」へと促すための優遇措置として、次のような、NISA口座で購入した金融商品の利益に対して「課税免除」が行われます。
- 購入した金融商品を保有することで得た配当金
- 購入した金融商品が値上がり後に売却して得た利益
これをざっくり図で表すと次のようになります。
NISAには一般的なタイプのほかに、未成年者を対象とした「ジュニアNISA」や、長期の積み立てを支援する「つみたてNISA」があります。
NISA口座でできること・できないこと
NISA口座では、次のような株式や投資信託などの金融商品を購入できる一方で、購入できない金融商品があります。
購入できる金融商品
- 上場株式
- 株式の組入れが可能な投資信託
- ETF(上場投資信託)
- ETN(上場投資証券)
- REIT(不動産投資信託)
- ワラント債(新株予約権付社債)
購入できない金融商品
- 非上場株式
- 預貯金
- 保険商品
- 個人向け国債
- FX
- 先物取引
- 金・プラチナ
- MMF/MRF
- eワラント
NISA口座の活用例4選
NISA口座は、具体的にどのような使い方ができるのでしょう。ここでは例として、4つのパターンの金融商品の活用方法をご紹介します。
パターン1-高い値上がり益や配当金を狙う
値上がりが期待できる先進国や新興国の株式のほか、アクティブ型の投資信託などで大きな利益を狙うパターンです。
利益が非課税のため、配当金や譲渡益が高額になっても税金の心配が不要です。
パターン2-コツコツ手堅く長期運用する
投信積立やインデックス型の投資信託などの手堅い商品を、とにかく堅実にコツコツと運用するパターンです。
低コストの商品は大きなリターンは得られませんが、高い安定性が期待できます。
パターン3-投資のプロに運用をお任せする
投資のことはよく分からないという初心者におすすめなのが、バランス型の投資信託を専門家に運用してもらうパターンです。
ほったらかしにしておくだけで配当が得られますが、信託報酬が高額になる場合があります。
パターン4-複数銘柄を購入しリスクを分散させる
「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があるように、複数の銘柄を購入することによってリスクの分散を図るパターンです。
NISAは投資額の上限が120万円のため、高額な商品をたくさん購入することはできません。
NISAのメリット・デメリット
それでは、次にNISAのメリットとデメリットをみていきましょう。まずは、NISAの2つのメリットについてです。
NISAのメリット
- NISA口座で得た配当金や譲渡益が非課税になる
- 非課税期間修了後に非課税枠にロールオーバーできる
NISA口座で得た利益が非課税になることで、税金を気にせずに配当利回りや売却益が高い銘柄を購入することができます。さらに、5年の非課税期間が満期となった際、利益が上限の120万円を超えていても、翌年にそのまま非課税枠へのロールオーバーが可能です。(※2018年12月から)
それに対して、次のようなデメリットがあります。
NISAのデメリット
- 1人1口座しか開設できない
- 他の口座から株式や投資信託を移せない
- 損益通算ができない
特に、損益通算ができないことで支払う税金が増える場合があるため、デメリットに感じている人は多いようです。
損益通算ができるのとできないのとでは、次のような違いがあります。
損益通算ができるケース
- 一般口座A:50万円の利益
- 一般口座B:30万円の利益
- 一般口座C:20万円の損失
年間の利益:50万円+30万円-20万円=60万円
利益に対する税金:60万円×20%=12万円
ところが、NISA口座の場合は損益通算ができないため、条件が同じでも次のように利益の金額が異なります。
損益通算ができないケース
- 一般口座A:50万円の利益
- 一般口座B:30万円の利益
- NISA口座:20万円の損失
年間の利益:50万円+30万円=80万円
利益に対する税金:80万円×20%=16万円
できるケースとできないケースでは税金に4万円の差が出ていることが分かります。
このように、NISA口座では利益の課税は免除されますが、必ずしも節税につながるというわけではありません。
NISA口座の利用者に使い方を聞きました
NISAのことは何となく分かったけれど、実際にどのような使い方をするとより効果的なのでしょう。そこで、NISAの口座を持つ6人に、具体的にどのような使い方をしているのか聞いてみました。
また、NISAを使ってみて感じたメリットやデメリットについても教えていただいたので、開設を予定している方はぜひ参考にしてください。
1.長期的な投資に
ギリギリまで待って配当を最大に
井上さん
30代
男性
会社員
東京都
もともと長期投資をメインに行なっていたため、NISAの制度に非常にメリットを感じ、すぐに利用しようと思いました。配当金の非課税に大きなメリットがあるため、3年以上は売らないと見込んだ株式に対して、積極的にNISA枠を使っています。
NISAは、長期で持てば持つほど配当金の非課税分の収入が増えるため、毎年買い増しをして、5年間という非課税の期間を最大限利用するのが賢い使い方だと思います。
短期売買のものでは、年間の投資額が120万円をすぐに使い切ってしまうので、NISA枠を使うのであれば、できるだけ長期投資で使うことをおすすめします。
2.配当金が高い株への投資に
配当金が高いと税金が高くなるので
ペンギンさん
30代
女性
主婦
愛知県
住宅ローンをいかに早く返すかを考えていた時、たまたまネットの投資情報を見てNISAを使ってみようと思いました。
NISAでは配当金に税金がかからないので、配当金の高い株をNISAで所有し、非課税になるメリットがない株主優待が良い株は普通の株式口座で購入しています。
これまで、株で儲かっても税金でかなり持っていかれていたので、NISAはかなりお得感があります。ただし、NISAには購入上限が120万円までなので、すぐに上限枠がいっぱいになってしまうのが難点です。
3.下値が堅い株の購入に
新規公開株を購入するために
ゆきおさん
20代
男性
会社員
東京都
私は、IPOをNISAで取引すれば、売却の際に税金がかからないからお得だと思ったので、もともと口座を持っていた証券会社でNISA口座を作りました。
ところが、肝心のIPOの抽選に当たらなかったので、現在は、私は値上がりが期待される株式よりも、むしろ、下がりそうでなかなか下がらない下値が堅いと思った株の購入に使っています。
NISAの口座内で売却した際、税金がかからないのでいいのですが、口座で使える金額が決まっていて機動的な株式取引ができないところは、利便性が高いとは言えません。
4.投資信託に
NISAは若い世代におすすめです
細山さん
20代
男性
会社員
長崎県
金融機関に勤めていることから、お客様に提案する中で、実際に自分でやらないことには中々理解できないと思い、NISAを始めることにしました。主に、国内外問わず株式を中心とした投資信託に投資しています。
2018年からつみたてNISAもはじまり、若い世代の方にとっては、中長期的な資産形成として十分役立つ制度だと思っています。リスクがあるもののリターンに期待できるので、定期預金では利息に期待できないという人におすすめです。
その反面、年間のNISA枠120万は少なく、さらに国内金融機関に1口座のみであることに不便さを感じます。また、開設の際、申込みを行ってから多少時間がかかりました。
5.投信積立に
コツコツ積み立てます
岡江さん
20代
女性
主婦
愛媛県
私は、職場で勧誘されてNISAを始めました。主に投信積立での運用がメインです。それでも非課税枠が残るので、資金に余裕があれば投信を追加購入したりしています。
NISA利用のメリットはやはり利益が非課税になる点です。それほど大きな金額ではないものの、せっかく運用して利益を狙うなら、非課税で利益を全部受け取れるのが魅力的です。これから運用を開始する人にも、NISAでの運用をおすすめしたいです。
逆に、NISAを利用して不便だと感じたのは、口座開設の際に開始手続きに時間がかかったことです。「今の価格相場で買いたい!」と思ったときに、NISA口座開設がまだ終わってなかったので、結局は特定口座での購入になりました。
NISAの使い方は人それぞれ
NISAがきっかけとなって、投資に興味を持ち始めたという人が増えています。なんといっても、NISA口座で運用した投資の利益が非課税になるのが最大の魅力だといえます。
しかし、投資初心者にとって、NISA口座をどのような使い方をしたらいいのか、どんなことができるのか分からないことだらけかもしれません。そんな方は、ここで紹介した使い方を参考にしながら、元本割れなどの損失を出さないように、賢くお金を増やしましょう。
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