なぜこうなった?かぼちゃの馬車の失敗の【原因】
このように、スマートデイズによる融資申請書類の改ざん、スルガ銀行による過剰な融資があっても、かぼちゃの馬車の運営がうまくいっていればこれほど大きな問題にはなりませんでした。かぼちゃの馬車のオーナーは約束通り30年間家賃収入を得るか途中で売却し、スルガ銀行にローンを返済し、トータルのキャッシュフローをプラスにして不動産投資を成功させていたはずです。
しかし、かぼちゃの馬車には部屋が入居者で埋まらないいくつもの理由があったのです。
かぼちゃの馬車の問題点
- シェアハウスの魅力となりうる共用のリビングがない
- 駅からは近いが賃貸物件の激戦区
- オーナーに保証した利回り8%を維持するために、物件の価値に対して家賃が高い
- 部屋が狭い(4畳)
- 目標は「入居者の回転率高く」→しかし、入居率は40%以下に
また、かぼちゃの馬車のコンセプトは、地方から首都圏に来たばかりの女性に部屋を貸し、仕事をあっせんすることで紹介料を得、家賃収入以外にも収益源があるというものでした。
しかし実際には入居率は40%以下となり、入居者が少ないので仕事のあっせんのほうも収益が得られず、経営が立ち行かなくなってしまいました。そこでスマートデイズは既存のかぼちゃの馬車の損失を新規のかぼちゃの馬車建設で補てんするという自転車操業に陥ったのです。

不動産投資が成功するかは、物件の価値を見定める調査にかかっています。女性向けシェアハウスの市場はどうなのか、利回り8%は妥当なのか、かぼちゃの馬車の建物は女性のニーズに合っているのか、既に運営しているかぼちゃの馬車の実際の入居率はどうなのか、入居者で活気がある状態なのか、営業の人間の説明だけでなく現地に赴いての調査が最も有効です。
自分だったら入居したくなるような物件か、必ず調べてから投資をすることでリスクを下げることが可能です。
なぜスルガ銀行はお金を貸した?
最新のスルガ銀行危機管理委員会の報告では過剰融資の原因を次のように分析しています。
スルガ銀行が過剰融資をした理由
- チャネル営業といって、スマートデイズとその関連会社(チャネルという)に個人投資家を紹介してもらうという仕組みに依存しすぎて、本当は回収リスクの高い融資を続けてしまった。
- スルガ銀行は全社的に前年比増収増益を掲げており、そのプレッシャーにより営業部門のかぼちゃの馬車推進に対する審査部門の牽制機能が十分に機能していなかった。
- スルガ銀行は「新築シェアハウス投資に対する融資」をアパートローンの延長としかとらえておらず、融資前のリスク評価、融資後の継続的な状況調査が不十分であった。
そして最後に「顧客本位の業務運営に対する意識の欠如」を挙げています。
スマートデイズのシェアハウス案件において、スルガ銀行は不良チャネルに欺かれて不良債権を掴まされた被害者という側面も有している。
しかし、本件を銀行の社会的責任の観点からマクロ的に見ると、スルガ銀行側にも大きな問題があった。スルガ銀行が、「高度の専門性と職業倫理を保持し、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図る」(「顧客本位の業務運営に関する原則」の【原則 2.】)という姿勢で臨んでいれば、スマートデイズのシェアハウスビジネスの問題性を早期に把握できたはずであり、このビジネスから早々に手を引き、多くの顧客を巻き込み、自らも痛手を被るという事態に陥らずに済む可能性もあったと思われる。

