ふるさと納税とは?
特定の自治体を応援する「ふるさと納税」に、興味があるという方は多いはず。節税効果があると言われていますが、具体的にどのような税金の控除が受けられるのでしょう。
ふるさと納税は「納税」ではなく「寄付」
ふるさと納税は「納税」と呼ばれていますが、一般的な納税とは違い、自治体に対して寄付をすることによって、寄付した金額に対して「寄附金控除」と呼ばれる所得控除や、住民税の控除を受けられる制度です。
所得税法78条の寄附金控除では、2千円を超えた分が控除の対象と定められていることから、寄付金が2千円以上の場合、超過分が所得税と住民税が控除の対象となります。
例えば、1万円を寄付した場合、2,000円を差し引いた8,000円が所得税と住民税から控除されます。
このように、ふるさと納税では2千円を自己負担することで、自治体に寄付をすることができるというしくみになっているため、ふるさと納税を行ったからといって、節税効果が得られるというわけではないのです。
ふるさと納税のやり方
ふるさと納税をはじめる場合、一般的に次のような手順で手続きを進めていきます。
ふるさと納税の手順
- 寄付したい自治体を決める
- ふるさと納税の申込みを行う
- 寄付金を支払う
- 寄附金受領証明書を受け取る
ふるさと納税のおおよその流れが分かったところで、ここからは、ふるさと納税の具体的なやり方について詳しくみていきましょう。
1.寄付したい自治体を決める
返戻品などの条件を見ながら、じっくりと決めたいという人には、ふるさと納税の情報サイトがおすすめです。
ふるさと納税の情報サイトには、ふるさと納税を行っている自治体を紹介するサイトのほか、自治体と提携して申込みを受付けているサイトの2種類があります。代表的なサイトは次のようなものです。
また、あらかじめ寄付したい自治体が決まっているという人は、各自治体のホームページを直接検索するといいでしょう。なお、自治体によっては、「ふるさと寄附」や「ふるさと応援寄附金」という名称が使われているため、検索の際はご注意ください。
2.ふるさと納税の申込みを行う
寄付をする自治体が決まったら、次に申込みを行いましょう。申込むためには、次のような5つの方法があります。
ふるさと納税の主な申込み方法
- 自治体のホームページから申し込む
- 情報サイトから申し込む
- 申込書をメールに添付して自治体に送る
- 申込書をFAXで自治体に送る
- 申込書を自治体に郵送する
3.寄付金を支払う
それでは、いよいよ寄付金を納めます。寄付金を支払う方法としては、主に次のような5つがあります。
寄付金の主な支払方法
- 口座振込
- 郵便振替
- 現金書留で送金
- クレジットカード決済
- 直接窓口で支払い
口座振替の場合は手数料がかかるのに対して、郵便振替の場合、自治体から用紙を送ってもらう必要がありますが、ATMを利用すると手数料が無料になるというメリットがあります。また、クレジットカードで支払うとポイントが貯まるのでお得です。
4.寄附金受領証明書を受け取る
寄付金を支払うと、自治体から寄附金受領証明書が送られてきます。ワンストップ特例を申請していない場合、所得税や住民税の控除を受けるために、寄附金受領証明書を確定申告の際に提出する必要があるため、大切に保管しておくことをおすすめします。
また、源泉徴収を受けている会社員や公務員は、年末調整では所得税や住民税が控除されないため、ふるさと納税を行った翌年に必ず確定申告を行いましょう。
ワンストップ特例申請で確定申告が不要に!
ふるさと納税で所得税・住民税の控除が受けるためには、翌年に確定申告を行う必要がありますが、事前に「ワンストップ特例申請書」を提出することで、面倒な確定申告を行なう必要がなくなります。
ワンストップ特例を申請するためには、ふるさと納税先を行う自治体が5つ以内で、さらに、各自治体に対して申請書を提出する必要があります。
知っておきたいふるさと納税のメリット・デメリット
好きな自治体に寄付することができるふるさと納税には、主に次のようなメリットがあります。
ふるさと納税のメリット
- 寄付する自治体を自分で選べる
- 複数の自治体にふるさと納税ができる
- 自治体によっては用途を選んで寄付できる
- 返礼品として特産品がもらえる
- 地域に貢献できる
絵で表すとこんな感じ
ふるさと納税といえば、返礼品としてもらえる特産品が魅力の一つですが、自治体によっては返礼品がない場合があります。また、あくまでも自治体の支援が目的の場合は、返礼品を辞退するということも可能です。
また、ふるさと納税のデメリットとして、次のようなものが挙げられます。
ふるさと納税のデメリット
- 2千円支払う必要がある
- 申込みや支払いに手間がかかる
- ワンストップ特例を申請していないと確定申告が必要
自治体選びのポイントは?ふるさと納税の体験談5
実際にふるさと納税を行っている人は、どのように自治体を選んでいるのでしょう。5人のふるさと納税の経験者に、ふるさと納税をはじめたきっかけや、ふるさと納税をやって良かったことなどを聞きました。
1.自分の故郷だから
故郷にできるだけ貢献したくて
ひなさん
40代
女性
主婦
山口県
自分のふるさとの財政に、少しでも寄与できればいいと家族で話したことが、はじめたきっかけです。やり方については、近くの支所で教えていただきました。
ふるさと納税によって、何よりもふるさとに少しでも貢献できたという気持ちを持つことができました。離れて住んでいますので、財政が厳しいと聞いても何もできなかったこともあり、ふるさと納税のような試みは大変良いことだと思います。
また、返礼品も地元の新鮮な果物や、魚介類、お酒など嬉しいものばかりです。家族でそれらを頂きながら、年に1度か2度しか帰省できないふるさとの話で盛り上がっています。
ふるさと納税のお陰で、思い出話に花が咲き、家族の会話も増えました。
2.祖父母が住んでいるから
税金の流れが学べました
うめさん
40代
女性
会社員
埼玉県
職場でふるさと納税をはじめる人が増えたのがきっかけで、自分でもやってみました。
返礼品目当てで自治体を選ぶ人が多かったのですが、私は祖父母の住んでいる町にしました。ゆかりのある地域に寄付することが、自分に合っていると感じたからです。
返礼品はよく知っている特産物ですが、やはりもらえるとうれしいものです。
確定申告は、計算方法などを手引きで読みながら、初めてエクセルを使って自分で作成してみました。
ふるさと納税のおかげで、寄付金でどれくらい所得控除されるのか実際に計算してみて、さらに税金への理解が深まったので良かったと思います。
3.被災地支援のため
お礼の手紙が嬉しかったです
ロンドさん
40代
女性
パート・アルバイト
東京都
ふるさと納税を始めたきっかけは、東日本大震災です。
東日本大震災のあと、なんとか被災地の役に立てることはないだろうかと思っていたところ、ふるさと納税を通して被災地の力になれるという記事を読み、ふるさと納税を始めました。
寄付する市町村は、東日本大震災で大きな被害を受けた市町村を選びました。
寄付金控除のやり方は全く知りませんでしたが、インターネットで検索したら、たまたま世田谷区役所のページに詳しいやり方が載っていたので、とても参考になりました。
ふるさと納税をしてよかったことは、寄付をした市町村からお礼の手紙が届いたことです。
手紙には、「小さな町で余力がなく、返礼品を送ることができませんが、せめてこの手紙で感謝を伝えたい」ということが書かれていました。私にはお手紙だけで十分でした。
4.地域貢献のため
クラウドファンディングで活性化
かわさん
30代
男性
会社員
埼玉県
色々な自治体が、ふるさと納税に対する返礼品が取り揃えているのをマスコミなどで知り、興味を持ちました。何げなく調べていると、自分が欲しかった物や魅力的な地方の特産品が貰えるので、ふるさと納税をしようと決心しました。
確定申告は初めてでどうしようかと迷いましたが、ネットで調べたところ、細かく教えてくれるブログや、詳しい解説が掲載されたふるさと納税のサイトがあったほか、雑誌のふるさと納税特集など、いろいろ参考になったので困ることはなかったです。
ふるさと納税は地方の返礼品を貰えることばかりが強調されていますが、クラウドファンディングのような形で地元の活性化する活動への寄付もありました。
自分の寄付で伝統や資源の存続に貢献できたかと思うと、ふるさと納税をやって良かったです。
5.返礼品が魅力的だったから
ふるさと納税がつなぐ縁
りりこさん
20代
女性
会社員
東京都
ふるさと納税を始めたきっかけは、会社の同僚に勧められたからです。2,000円の負担のお礼の品として、その土地の特産品を送ってもらえるなんてお得だと思い、一昨年から夫婦でふるさと納税をしています。
やはり魅力的なお礼の品があるところを選びました。そのほかにも、旅行で訪れたことがある町や親戚が住んでいる町など、夫婦に縁のある地域を選ぶようにしています。
ふるさと納税をしてよかったことは、駅前の特産品イベントに納税した市が参加していて、ふるさと納税したことを伝えたらとても喜んでくれたことです。ふるさと納税は、募金に比べて用途が明確で、実際に相手の顔が見えることがとても新鮮でした。
ふるさと納税は目的に応じて選ぶべし
ふるさと納税を始める際、どの自治体に寄付をしようか迷ったら、どんな目的でふるさと納税を行うのかを明確にすると決めやすくなります。
「おいしい返礼品がほしい」「素晴らしい伝統工芸を守りたい」「自然保護に役立てたい」等、目的をはっきりさせると、おのずとあなたの大切なお金の使い道が決まるはずです。