株式投資の失敗の原因とは?
株式投資の失敗は、初心者にありがちな経験不足だけが原因ではありません。大きな損失を出してしまうような株の失敗の原因として、主に次のような要因があげられます。
- 株についての知識が足りない
- 欲に目がくらんでいる
- なかなか損切りしない
- 売買のタイミングが悪い
- 値動きに敏感に反応しすぎる
- 人の言うことを鵜呑みする
- 安易に売買している
- 分散投資していない
- 投資スタイルにブレがある
- 株式投資のルールがない
特に、株式投資において、さまざまな状況に応じて冷静な判断を下すためには、運用ルールを決めることが重要と考えられていることから、独自のきまりのもとで株を運用している投資家は少なくありません。
その中でも、ウイリアム・D・ギャンの「決して失敗しない24のルール」は世界で広く知られています。
投資初心者が知っておくべきギャンの24のルール
ギャンは1878年生まれのアメリカ人の投資家で、彼によって提唱された運用ルールは、後に「ギャン理論」として多くの投資家に影響を与えました。
ウィリアム・ディルバート・ギャン
ギャンの24のルールを要約すると、次のようになります。
ギャンの24のルール
- 1回の取引で資金の1/10以上のリスクを取らない
- ストップロスオーダー(損切り注文)を行う
- 過剰な売買はしない
- 利益が損失にならないように守る
- 相場のトレンドには逆らわない
- 疑わしい時は取引しない
- 取引は活発な銘柄のみにする
- 資金を1銘柄に集中させない
- 指値をせず成り行きで売買する
- 理由もなく売らない
- 売却利益の一部は蓄積しておく
- 配当目当てで株式投資を行わない
- ナンピン買いはしない
- 我慢できずに無駄な売買するより待つことが大事
- 小さな儲けと大きな損は避ける
- ストップロスオーダーはキャンセルしない
- 頻繁に売買しない
- 買いだけでなく売りも積極的に行う
- 安いだけで買わない、高いだけで売らない
- ピラミッディングのタイミングを選ぶ
- ピラミッディングの銘柄を選ぶ
- 危険回避のためのヘッジはせず次の機会を待つ
- 理由もなくロングやショート等のポジションを変えない
- 儲けた後で取引量を増やさない
これらのルールを守っていても、株式投資がうまくいかないという人は、もしかして株に向いていないのかも…。株をやらないほうがいい人のタイプに興味があるという方はこちらの記事がおすすめです。
12人の経験者が語る!私の株の失敗体験談
株式投資では、成功する人よりも失敗する人の方がはるかに多いといわれています。株の失敗はなぜおこるのでしょう。12人の投資家に、株の初心者の時に経験した失敗談について聞きました。
1.株のセンスがないせいで失敗
はじめに紹介するのが、株式投資がうまくいかないという人です。株式投資の格言に「漁師は潮を見る」という言葉がありますが、相場の流れを読むことは投資家にとって大変重要になります。
あつさん
40代
男性
その他
千葉県
私は株を始めた時からずっと失敗しっぱなしです。現在も80万円ほどの損失を抱えています。所有株は全く上がらず塩漬け状態です。
株は上がるよりも下がる確率が高いので、たとえ上がったとしても、一瞬で下がってしまうものです。なのに、せっかくプラスになっても、欲が出て売れずじまいです。
さらに、高値で買っては、じわじわと下がるのを見守るだけ。もう駄目だと思ったところで、さじを投げて損切りした時に限って、直後に上がり始めてしまいます。
株価の変動を見誤り、やることなすこと裏目に出てしまうのです。
株式投資というのは銘柄選びが重要ではありますが、そのほかに経験と運と少しのセンスが必要だと思います。その点、私はセンスのかけらもないのかもしれませんね。
2.焦って損切りしたせいで失敗
持ち株が下落すると誰もが不安になるものですが、次は、パニックに陥って慌てて投げ売りをする「狼狽売り」で失敗したパターンです。
トマトさん
30代
男性
会社員
東京都
株式投資を始めてから3か月くらいの時、投資していた会社の株価が暴落しました。それまでは順調に利益を出してきたため、とても焦りました。
含み損が5万円を超えた時、血の気が引けるような喪失感を覚え、これ以上の損失は苦しいと感じて、即損切りをしました。
するとその3日後、株価が急激に回復したのです。あと3日待っていれば、5万円以上の損失が出ることはありませんでした。我慢できずに売ってしまったのが原因です。
その時、株価が暴落しても、静観する勇気が必要だと感じました。暴落したらそれで終わりなのではなく、黙って見守ることで状況が好転することもあるのです。
3.損切りしなかったせいで失敗
株式投資は長期保有が良いとされていますが、株価が下がり続けているにもかかわらず、損切りしないで塩漬け状態にしておくと、損失が膨らんでしまうこともあるようです。
勇次さん
50代
男性
会社員
北海道
職場の先輩に株式投資をやっている人がいて、その人は年間通してプラスの利益を上げていたので、アドバイスをもらいながら独学で株式投資をはじめました。
最初の1~2年は順調でしたが、3年目に失敗して200万円の損失を出しました。失敗の原因は、何の対策も取らずに塩漬け状態のまま放置していたことにあります。
1~2年目は、マイナスに傾くことがあっても結果的にプラスになっていたので、マイナスになることはないだろうという安易な考えから、損切りせずに放置していました。
ところが、最初の1~2年はレンジ相場でレートが行ったり来たりしていて、たまたま運良くプラスに戻っただけだったようなのです。
このような損失を出したことで、株式投資をやるなら小遣いの範囲にとどめておくべきだということがよく分かりました。
4.買うタイミングが悪くて失敗
次に紹介するのは、相場の上昇につられて衝動的に買いに走る「飛びつき買い」の悪い例です。
マーキーさん
50代
女性
主婦
兵庫県
友達が中国株で儲けたお金でブランドバッグを買っているのを見て、私も!と思い、飛びつくように中国株を買いました。
買った中国の企業は株式を発行したばかりで、どんどん値段が上がっていました。
ところが、値段の上昇をきっかけに投資家が売り始めたようで、購入直後から株価は急激に下がり始めました。どうやら私は、1番高い所で買ってしまったようなのです。
その後、値段は下がり続けて、最終的には10分の1になりました。10万円ほどの損失ですが、売るに売れなくて今も保有しています。いわゆる塩漬け状態です。
その後、株は下がった時に買うということに気をつけています。テレビのニュースで株が上がっていると報道された時は、もう手遅れなのです。
5.売るタイミングを逃して失敗
株は買うより売るのが難しいと言われるように、株価が下落した際、売るタイミングが遅れて大損したり、売った後で回復したりするため、これがベスト!というタイミングを知るのは難しいようです。
まるんさん
30代
女性
会社員
福岡県
株をはじめて2年目くらいの時のことですが、証券会社の担当者が替わることになりました。私は、ベテランの方が良かったのですが、新しい担当者は入社2年目の若い男性でした。
そして、その若い担当者がしきりに勧める企業の株を購入することに。業績は伸びているし、増収増益の見込みだったので、それなりに期待をしていました。
ところが、第3四半期の途中で、テレビのニュースで取り上げられるほどの大きな事故が起き、それから株価は急落してしまいました。
運の悪いことに当日は一日中会議が続き、事故が発生したことを知ったのは夜8時くらい。しかも、翌日も朝一番から会議に出席しなければなりませんでした。
結局、仕事で株を売るタイミングが2日も遅れたことで、30万円ほどの損失となりました。担当者が悪いわけではないのですが、今でも何となく釈然としないままです。
6.ナンピン買いで失敗
ここで紹介するのは、損失を回復するために、株価が下落した後で買い足すナンピン買いの失敗例です。
ちなみに、ナンピン(難平)という言葉には、「愚か者」という意味もあります。
かなこさん
30代
女性
パート・アルバイト
神奈川県
お金がない時に焦って増やそうとして、7円の株を1万株買いました。「1円上がれば1万円増える」と思っていたのですが、そんな甘いものではありませんでした。
そもそも安い株には、安いなりの理由があったのです。
それなのに、もしかしたら上がるかもしれないという期待が上回り、7円の株が6円に下がったときに、さらに、もう1万株買い足しました。
その後も、株価がゆっくり下がって行くのを見ても、「明日は上がるかもしれない」という期待から持ち続け、2円まで下がったときにやっと手放しました。
いわゆるナンピン買いで損失が膨らんでしまったパターンです。
結局、9万円の損失でした。あの時は、なけなしのお金をドブに捨てたように感じて、本当に悔しくて、情けない思いをしました。
7.情報に惑わされて買って失敗
株式投資の格言に「理屈と人気から離れよ」という言葉がありますが、人気が出そうな株からはあえて離れることも失敗を防ぐ方法の一つです。
トムさん
40代
男性
会社員
東京都
株式投資歴20年ほどになりますが、投資を始めた1年目にネット上に氾濫する情報に惑わされ大失敗しました。
「この会社は儲かっている」「近いうちに株式分割する」「新しい技術が開発された」「自社株買いするらしい」等々のクチコミを鵜呑みにしてしまったのです。
通常、このような企業の業績につながる情報は、株価上昇の要因となるため、絶対儲かると思い100万円を投資しました。
ところが、ネットに出回っていた情報は、なんてことはないガセネタだったようで、株価は買ってから下がりっぱなしでした。
結局、1ヶ月で30万円の損を出して、しばらくの間立ち直れませんでした。
いきなり多額の資金を投入したこともそうですが、信憑性の低い情報を疑いもなく信じてしまったことが失敗の原因です。その後は、ネットの情報の取捨選択を心がけています。
サラさん
40代
女性
その他
新潟県
株をはじめて3年ほどになりますが、初めて購入したのが、当時に上場したての日本郵政株でした。売り出し価格が1株1,400円で、購入額が1,500円くらいでした。
有名人を使ってCMをするくらいだし、長く持ち続けても大丈夫だろうと思って購入したところ、どんどん上がって2,000円近くになりました。
そのため、安心して持ち続けていましたが、年が明けた頃、急に株価が下がり始め、一時期1,200円くらいになって、慌てて損切りしました。
堅い銘柄だと思っていたのに、まるで株価が急激に吊り上げられてから、吊り下げが行われる仕手株のようなチャートでした。結果、3万円の損はかなりショックでした。
それ以来、株は話題性に踊らされて買ってはダメだと教訓にしています。なので、CMをバンバン打ち出しているビットコインにも手を出していません。
8.IPO銘柄の初値買いをして失敗
IPO株は損失を出すリスクが低いといわれていますが、ここで紹介する方の場合はそうではなかったようです。
平 均男さん
40代
男性
その他
富山県
13年ほど前の最初の取引でのことです。当時、話題性のあった情報・通信企業の新規上場株が、上場後しばらくは買い注文が殺到し、値がつかず急騰しました。
連日ストップ高の株価はさらに上がることが予想されたため、比例配分狙いで成行注文を入れました。
すると、ストップ高で初値をつけた後、売り注文が膨らんで特別気配が表示されたため、その日は値がつかないまま引けたのですが、次の日以降も売り注文が殺到したことでストップ安に。
結局、翌々日に何とか損切りしましたが、初めての取引で投資資金の25%となる10万円を失う結果になりました。
私は、急騰や急落しやすいIPO株の特徴を理解していなかったのです。
それからは、「新規上場企業の株の初値買いはしないこと」「ストップ高やストップ安での買い注文をしないこと」を自分のルールとして守るようにしています。
9.全力買いしてしまって失敗
ギャンも「資金の10分の1のリスクを取ってはいけない」と言っているように、自分が持っている資金を全てかける全力買いは、大損につながる可能性が高くなります。
シュウイチさん
40代
男性
その他
群馬県
株を始めて4年ほど経った頃、成長著しいと噂されていた電気機器メーカーの株を購入しました。
価格は1,700円付近と高値水準でしたが、PERが割安だったため気にもしませんでした。ところが、この株は買って以降、上がり続けていた株価が下落に転じました。
その後、1,000円台を維持することすら難しくなったので、仕方なく1,030円で投げ売りしました。全力買いしたおかげで発生した損失額は約70万円です。
損失が大きくなったのは、規模が小さい銘柄に対する全力買いが原因です。
それ以降、投資に関する噂を聞いた時も、本当にその情報が正しいのかどうか吟味してから行動するようにしています。
10.銘柄の選択ミスで失敗
株式投資では、目先の儲けを優先させた銘柄選びをしていると、逆に利益を逃すことになるという良い例がここで紹介するお二人です。
ローレヌさん
30代
男性
会社員
東京都
株を始めた頃、とにかくニュースの情報にかじりついていたにもかかわらず、開始して半年ほどたつとパフォーマンスが低下し始め、100万でスタートした資金が8ヶ月後には200万の借金となっていました。
失敗の原因は、値上がり率がよい銘柄ばかり選んでいたことです。各銘柄への先入観は株の失敗を招く大きな原因となります。
その失敗によって、長期的に株価が上がるかどうかしっかりリサーチすることが大事だということを学び、現在は投資家が集うセミナーに通い、確実な儲けが出せるスタイルに方向転換しました。
株式投資では、1か月間できちんとした売買があることと、利幅が大きいということが大切だと分かりました。
失敗から多くのことを学び、今では借金はゼロとなり、3年で500万以上の儲けが出せるようになりました。
缶奈緒美さん
20代
男性
会社員
東京都
私は、配当をもらいながらただ値上がりするのを待っていればいい、そんな軽い考えで株式投資を始めました。
ですから投資先は、市場平均よりも配当利回りの高い株式を選んでいたのです。
株式投資を始めて一年目の時、このような考え方をもとに購入したのが、配当が良かったJTです。しかし、私が購入した直後から株価はずるずると下がりました。
望み通り配当金は手に入りましたが、配当金以上の値下がりを出したため、結局損切りしました。損切りした金額は大体10万円くらいだったと思います。
これ以降、配当利回りの高いというだけで安易に手を出さないようにしています。
株式投資の失敗は成功のもと
ここまで投資家の失敗談をみてきましたが、みなさんの株式投資での失敗は、その後、同じ失敗を繰り返さないだけでなく、成功するために大いに役立っているようです。
残念ながら失敗してしまったという時は、狼狽売りや飛びつき買いに走りがちですが、まずは、なぜ失敗をしてしまったのかを冷静に分析して、次の利益につながる対策を練ることが大切です。